会長挨拶

  • 第27回日本薬物脳波学会学術集会
    会長 東京女子医科大学脳神経内科 飯嶋 睦


  • 謹啓 時下、益々のご清栄のことと慶び申し上げます。
     この度、第27回日本薬物脳波学会学術集会を2025 年7月 11日(金)、12 日(土)にミナカ小田原コンベンションホールで開催させて頂くことになりました。本学会のテーマは「個別化医療に向けた脳波研究:診断・治療戦略の革新」としております。

     日本薬物脳波学会は、1990年に日本薬物脳波研究会という名称で、当時の関西医科大学精神神経科講座の齋藤正巳先生を中心に発足しました。それ以後、本研究会では薬物が脳波に及ぼす影響に関する研究発表と活発な討論が行われてきました。1996 年に母体組織であるInternational Pharmaco-EEG Group(IPEG)がAssociation になったことを受けて、1997年に本研究会を現在の「日本薬物脳波学会」に改組しました。
    発足当初、薬物脳波学は薬物による脳機能評価を神経生理学的な脳波を用いて定性・定量評価する研究が主体でした。その後、脳機能評価の手法は、脳波マッピング、事象関連電位、脳磁図、解析法が進展し、また機能的 MRIや近赤外分光法などの神経画像検査、人工知能(AI)など技術が進歩し多様となりました。また、本学会の研究対象は精神神経科領域に加え、認知症、頭痛、てんかんなど脳神経内科領域、小児科領域の注意欠如・多動症を含む発達障害など様々な疾患に及んでいます。

     21世紀は脳の時代と称されています。精神的な健康やメンタルヘルスの重要性やストレス反応による脳機能の理解が深まり、より良い治療法が求められています。また、日本における65歳以上の人口の割合は2023年の時点で約30 %とされ、今後も高齢化が進む見込みであり、それに伴い認知症患者が増加の一途を辿っています。高齢者における脳機能や治療薬の客観的な効果の評価も重要な課題となっています。
    様々な精神神経科領域、脳神経内科領域の疾患において、脳波・神経生理学的検査の有用性を検討する学術集会として、臨床および研究の進歩に深く貢献いたしたく存じます。

     会場は小田原駅から直結、徒歩3分の天成園小田原駅別館内にあり、とても便利な立地で、同宿泊施設には温泉が設備されています。本学会は発足以来、学術的な側面のみならず、多領域、多職種にわたる会員の皆様と親睦を深める学術学会であります。
    皆様のご参加を心よりお待ちしております。